
停滞するキャリアを
最速で更新せよ。
外食大手から
介護ベンチャーへ転身した
エリアマネージャーの「勝算」
岡本 亮
重度訪問介護 東京 エリアマネージャー

30代、40代。現場を熟知し、マネジメントの型を身につけ、PL(損益計算書)を読み解く力も備わった。しかし、ふと顔を上げたとき、自身のキャリアの「天井」が見えてしまうことはないだろうか。
「上が詰まっている」「これ以上の昇格にはあと10年かかる」——。
そんな閉塞感を打ち破り、異業界から介護の世界へと飛び込んだ一人の男がいる。ユースタイルケア東京でエリアマネージャーを務める岡本亮(おかもと・りょう)だ。
かつて大手牛丼チェーンで10店舗を束ねていた彼が、なぜ「未経験の介護」を選び、そして今、かつてないほどの充実感の中にいるのか。その軌跡を追った。
「20代で社長」が現実的ではない場所で
——まずは、前職でのキャリアからお聞かせください。
2012年に新卒で大手外食産業に入社しました。誰もが知る牛丼チェーンです。そこで6年ほど、主に関西地方で店舗管理に携わってきました。最終的には約10店舗を統括するブロックマネージャーとして、数値管理、シフト調整、そして人手が足りないときは自ら店頭に立つオペレーションまで、文字通り現場と数字の両面を支えてきました。

——順調なキャリアに見えますが、なぜ転職を考えたのでしょうか?
結論から言えば、「早期のキャリアアップが見込めなくなったこと」です。
私がいたポストの上にはディストリクトマネージャー、ゼネラルマネージャー(GM)と続くのですが、組織改編でGMの職枠が実質的になくなってしまった。上が詰まれば、当然その下にいる僕も動けません。
当時は20代後半。入社当初は「GM、さらにその先の社長職まで」という野心もありましたが、分社化によって社長の席は増えたものの、実際にその椅子に座るのは40代、50代が当たり前。
20代でトップを目指すのは、その組織では現実的ではありませんでした。加えて、結婚を控えていたことも大きかった。夜間に欠員が出れば現場へ急行する。そんな「現場依存の働き方」から脱却し、純粋にマネジメントスキルで勝負できる環境を探し始めました。
「介護に興味があったわけではない」という本音
——転職活動の中で、なぜ「介護業界」が選択肢に入ったのですか?
正直に申し上げますね。もともと介護に強い関心があったわけではないんです。決め手は、圧倒的な「キャリアアップの速さ」でした。
ユースタイルケアの求人広告には、「半年でマネージャー」「1年でここまで昇格」といった具体的な事例が明確に載っていました。他の業界もほとんど見ませんでしたね。このスピード感こそが、停滞していた自分のキャリアを動かす唯一の手段だと思ったんです。
——未経験、しかも無資格からのスタートに不安はなかったのでしょうか。
それはもう、非常にありました。「医療的な知識や専門スキルがない自分に、マネジメントができるのか?」と。利用者様への介助、例えば排泄介助一つとっても、当時は想像すらつきませんでした。内定をいただき、雇用契約を結ぶ直前まで、ずっと自問自答していましたね。
でも、その不安は研修制度で和らぎました。「重度訪問介護」に従事するための統合課程を3日間で取得し、その後も実務者研修などのフォローアップ制度が整っていた。知識の欠如を埋める仕組みが会社にあったことで、早い段階で「これなら戦える」という確信に変わりました。

外食での「PL管理」と「現場主義」は、介護でも通用する
——異業種からの転身ですが、前職のスキルが活きていると感じる場面はありますか?
大いにあります。特に現場に対する「観察・分析・判断」のプロセスで活きています。
私は「現地現物」を大切にしています。現場で何が起きているのかを対話から抽出し、「なぜこの数値が動いたのか」を深掘りする。誤った診断からは、誤った処方箋(対策)しか生まれません。
この分析の精度は、外食というシビアな業界で揉まれた経験が大きな武器になっています。
福祉事業で、こうしたビジネススキルを活かせるのは、数字に基づく営業戦略PDCAを介して介護業界の量的貢献を目指すユースタイルだからこそと言えるのかもしれません。
——マネージャーであっても、現場を知ることに抵抗はないと。
全くありません。入社後の約半年間はしっかり現場に入りました。
重度訪問介護の現場は、私の想像とは違って、とても穏やかな時間が流れていました。利用者様がテレビを観ているときは隣で見守り、必要な時にサポートをする。
そうした密なコミュニケーションを通じて、現場のスタッフが抱える課題もやりがいも肌で感じることができました。

キャリアダウンどころか、裁量も年収も「拡大」した
——一般的に「介護への転職はキャリアダウンになるのでは?」という懸念を持つ方も多いですが、実際はいかがですか。
私の経験から言えば、それは誤解です。年収面で言えば、ユースタイルの給与水準は業界内でもトップクラスですし、私は前職よりも上がりました。
それ以上に大きいのは「裁量権」です。大手チェーンの一員だった頃は、すでに決まった枠組みやスキームの中でいかに工夫するか、という戦いでした。でも、今のベンチャー環境では、自分の提案がダイレクトに実行に移せる。失敗しても再チャレンジが許される。
一事業所の責任者として持てる決済権や影響範囲は、前職の比ではありません。
——ワークライフバランスの変化についても教えてください。
劇的に改善しましたね。現在は10時出社、19時退勤が基本。残業も1時間程度です。
おかげで家族との時間もしっかり確保できており、妻からも応援してもらっています。

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デザイン・文:小出圭祐 / 企画:ユースタイルラボラトリー



