「技術的に正しい設計が、常にビジネスや現場の正解だとは限らないんです。我々のシステムが止まれば、6,000人のケアスタッフが動かす介護現場の運営が止まり、目の前の利用者様の命にダイレクトに影響してしまうからです」
そう語るのは、ユースタイルラボラトリーIT統括部部長の石川です。 現在、IT業界では生成AIがコードを書き、効率化が叫ばれています。しかし、どれだけ技術が進歩しようと「人の手による介護(ケア)」というドメインは決して自動化・代替されません。
今回、2040年に約69万人の介護人材が不足するという日本最大の社会課題に対し、急成長する事業の裏側で「決して止めてはいけないシステム開発」を牽引する、ユースタイルラボラトリーIT統括部の泥臭いリアルに迫りました。
(ユースタイルラボラトリー 採用企画部)
カオスな介護現場と、破綻してはいけないデータ構造
日本が直面する「2040年問題」。介護人材が足りず現場が運営できなくなる――。
この圧倒的な社会課題に対し、一つの解となるのが「介護現場のDX」です。前年比150〜200%で急成長しながら「介護現場のDX」を押し進めているのが、ユースタイルラボラトリーIT統括部です。
ユースタイルラボラトリーは、重度障害者・難病者への国内最大規模「重度訪問介護サービス」提供をはじめ、ワンストップであらゆる介護医療サービスを提供する現場運営事業者です。
一方、全国6,000名超のケアスタッフが日々利用する自社基幹システム群をゼロから構築し、そこで培ったノウハウを介護業界全体へ提供するSaaS事業をおこなっています。
ユースタイルラボラトリーIT統括部が開発しているのが、このSaaSシステム「カイビズプラットフォーム」です。

これらのシステム開発には、一般的なWebサービスでは考えられないほど「複雑な変数」が存在します。
まず、介護サービスは「高齢者の介護保険」と「障害福祉」で法律もルールも全く違います。さらに「居宅介護」か「重度訪問介護」か、「施設型」か「訪問型」かによっても要件が分岐します。 極めつけは、国の法律が曖昧なゆえに発生する「ローカルルールの壁」です。
市区町村ごと、ひいては担当窓口の人間によって解釈が違うルールを、全国展開する一つのシステムにどう落とし込むか。条件が1つでも矛盾すれば、現場のスケジュールや報酬請求(国保連へのデータ作成)は一瞬で破綻してしまいます。
「仕様通りに動く」のは当たり前です。 この超・複雑なドメインのパズルを解きほぐし、「決して破綻しないデータ構造」をどう組むか。アーキテクトとしての設計力とビジネスへの理解が、日本の介護現場の安定に直結します。
月600件の要望と、「これは作らない」と言える勇気
ユースタイルラボラトリーのシステム開発環境は、ユーザーの顔が見えない下請け開発とは無縁です。 現場からは月に600〜700件(1日約30件ペース)もの問い合わせがダイレクトに寄せられます。

しかし、届いた要望をそのまま「御用聞き」のように実装していけば、システムはすぐにスパゲッティ化し、将来の変更コストが跳ね上がってしまいます。 時には、現場のスタッフがシステムで補えない部分をスプレッドシート等で必死にカバーしようとしている前向きな泥臭さもあります。だからこそ、エンジニアがその根幹の課題を解決しなければなりません。
エンジニアに求められるのは、「別の設計で解決できないか」「この機能を追加すると、将来の負債はどうなるか」を考え抜くことです。
そして、事業側や現場に向かって「それは作らない。代わりにこの仕様なら、半分の工数で同じ事業インパクトを出せる」と最適解を提示します。その折衝を経てリリースした機能に対し、現場の介護スタッフからチャット等で「あの代替案のおかげですごく使いやすくなった!」という生の声が届きます。これが、巨大な分業組織では得られにくい、自社開発ならではのリアルな「手触り感」なのです。
現場を止めない。技術的負債との葛藤
「全部、根本から最新技術で綺麗に作り直したい」 稼働し続ける巨大な既存システムに向き合うとき、エンジニアなら誰もが一度はそう思うはずです。ユースタイルラボラトリーでも現在、古い請求システムを廃止してSaaS(カイビズ)に統合し、さらに古い社内システムをリプレイスしていく巨大なフェーズにあります。

しかし、365日24時間休まず動く介護現場において、エンジニアの「技術的なエゴ」を優先することは致命傷になり得ます。 ユースタイルラボラトリーの基幹事業である「重度訪問介護」の現場では、スタッフが数分目を離すだけで、利用者様の命に関わる事態が起こり得ます。「決まったスタッフが、決まった時間に必ず行く」ことが絶対なのです。
もし、エンジニアの1行のコードミスでシフト連絡システムが止まり、「今日、誰がどこに行くか分からない」状態になればどうなるでしょうか。それは単なる売上の低下ではなく、利用者様の命の危険に直結します。
「技術的理想」と「絶対に止められない現場の現実」。その狭間の葛藤に対し、IT統括部部長の石川は常に「システムの美しさより、現場の安定を優先する」という明確な判断軸を持っています。「泥臭くても、明日現場に向かう6,000人のスタッフと利用者様を守ること。それが私たちの誇りです」と石川は語ります。
「コードを書くだけ」で終わらない。AI時代の生存戦略
SIerやメガベンチャーで経験を積んだエンジニアがユースタイルラボラトリーに入社して驚くのは、無駄を省く「意思決定の速さ」と「フラットさ」です。
現場のエンジニアが、事業部長や責任者に率直に意見することができます。提案は感情ではなく「合理性」で判断され、コストに見合わないものは速やかに却下されます。本質的でない開発をやらないからこそ、無駄な残業も発生しません。

生成AIが台頭し、ただコードを書くだけのエンジニアは価値を失っていく時代です。 石川はこう語ります。 「これからのミドル層エンジニアに必要なのは、時代の変化を理解した上で、『ビジネスとして何が最適か』を考え、提案できる力です」
IT統括部には、言われたものをただ作るだけの人間はいません。職種を超えて互いをリスペクトし、事業の正解をボトムアップで議論できる文化があります。だからこそ、創出された時間とリソースを「エンジニア自身への投資」「技術的負債の返済」や「本質的な課題解決」に投資できるのです。
技術とビジネスの正解をすり合わせ、事業の未来を決める
仕様通りに作るだけの環境を抜け出した先で、エンジニアの役割は大きく広がります。 数年後には、技術の最前線に立ちながら事業の意思決定に関わる立場へステップアップしていく道が開かれています。マネージャーになったからといって、管理業務だけに埋もれることはありません。事実、IT統括部トップである石川自身が、今でもコードに触れ、課題解決の喜びを現場で味わい続けています。

徹底的なDXを進めた先で、私たちが目指すのは単なる売上拡大ではありません。 「だれもが互いの可能性を信じ、 自分らしく生きられる社会。」を作ること。 そして、「すべての必要な人に、必要なケアを届ける。」こと。 利用者様、ケアスタッフ、そして開発部門。関わるすべての人の想いを包含し、社会インフラを築き上げたいと考えています。
転職希望の皆さんへ
「技術」と「事業」の両方に責任を持つエンジニアとして、私たちと一緒にこの社会課題の最前線に立ちませんか?
2040年問題は、刻一刻と近づいています。あらゆる事務と現場運営をDX化し、介護従事者が目の前のケアだけに集中できる環境を整備する必要があります。 一日でも早くこの問題解決に向かうためには、まだまだ多くの壁が残っており、同じ志で立ち向かう仲間が必要です。
「綺麗なコードより、目の前の課題を解決するシステムを作りたい」 少しでも心が動いたら、ぜひ一度お話ししましょう。
